この記事は、2009年11月30日CNET JAPANに投稿したものです。
私は商売柄いろいろなサイトで商品を購入しているので、経験としてECサイトではかなり慣れているほうだと思います。それでも「えっ?」と思っ てしまうサイトが少なくありません。もう少し気づいてほしいのにと思うのですが、そこには運用側や開発側の都合が見え隠れします。ECサイトでは差別化競 争が激しさを増していて、即日配送や限定価格・ポイント還元などは多く目にしますが、ユーザビリティ・利用者に対する「操作」の配慮はなかなか配慮されて いないようです。
シニア世代を意識したサイト作りは、結局世代全体を意識することになると思います。パソコンになじんでいる世代とは異なり、マウスの操作もままなり ません。(今、このブログを読まれている方で、右効きの人は左手で、左利きの人は右手でマウスを操作するとよくわかります。クリックもダ ブルクリックも大変なのがわかると思います。) それからほんの些細なエラーメッセージにも動転してしまいます。
わかり易くするために基本的な例を挙げてみます。
「半角カナで入力してください」
まずこのメッセージはよく見かけますが、サイト側から伝えたいことが、利用者にわかるのでしょうか。そもそも一般の人で「全角・半
角」の意味を正確に理解している人は少ないはず。 パソコンに慣れている人は「全角・半角」の意味
がほぼわかると思いますが、一般の人には意味不明な用語となります。実際、慣れている人でも数字やアルファベットなどを半角で入れたのか、全角で入れたの
か識別が難いときもあるのです。それでも『半角カナで入力しなさい』などはまさに開発者の都合です。ECサイトで使っ
ているデータベースのフィールド定義そのままなので、半角カナで入力してもらうほうが変換する手間が要らないのです。入力されたらその文字をプログラムで
半角に置き換えればいいものなのに、いまだにこのエラーメッセージをよく見かけます。さらに名前の送りがなであれば、『全角かな』で入力させていもいいの
にと思うのだが、ホストコンピュータとの連携に差し障るのかなと思ってしまいます。
「404エラー」(ページが見つかりません)
ページ遷移中のエラーでリンク切れとして発生しますが、以前ブックマークされていたページが、リニューアルなどでなくなった場合でも発生します。
こ
のエラーはパソコン上のブラウザで、次のページを表示させようと、サーバ側に要求が行き、サーバ側でその要求されたページが見つからなかったときに、サー
バは404エラーとして、ブラウザ側に返すことにより発生します。
本来、404エラーであれば、サーバ側でほかのページに置き換えて「リニューア
ルしたので、このページは使えません。トップページはここです。」のような画面を表示すれば、少しは利用者が安心して操作を続行できるのです。All
Aboutに404エラー対処方法のページがあるので、参考になると思います。
http://allabout.co.jp/internet/hpcreate/closeup/CU20031019A/
認知工学の意識
水道の蛇口はいずれの方向にひねれば水が出て、その反対方向にひねると水が止まります。自動を除けば無意識のうちにその方向に蛇口をひねるのです が、逆の水道栓があったらどうでしょう。きっと、蛇口の前であたふたすることになるでしょう。「戻る」ボタンと「次 へ」ボタンが横に並んでいた場合、左にはどちらのボタンを置けば良いのかを考えます。特に規則があるわけではないですが、一 般的に左側には「戻る」ボタンで右側が「次へ」ボタンが多いようです。この配列が逆だとまごついてしまいます。
このようにサイト内のボタンなどは、”一般的”な置き方を使うべきです。さらにhtmlで通常のボタン配置はともかくとしてこれがFLASHになっ
た場合、デザイン重視でFLASHデザイナーの思いがそのまま出てしまうため、時としてどう操作していいのかわからない場合があります。デザイン重視の気
持ちは分かりますが、使えなかったら意味がありません。
とにかく面倒臭い入力欄
例えばクレジットカード番号の入力に4桁(けた)のフィールドが4つある(AMEXは除く)。この4桁の入力だけをとっても、あるサイトは4桁入力
すると自動的に次のフィールドに移ってくれるサイトと、いちいちタブキーを押さないと次のフィールドに移らないケースや、4桁のフィールドの最後で誤って
エンターキーを押してしまうと、それが入力途中でもサーバに送られてしまい、エラーが山ほど表示された経験はみなさんお持ちだと思います。さらに今まで入
力してきた内容がクリアされてしまうことさえあり、これは最悪で、再び最初から入力しなければならなくなります。
そうなると、投げ出したい気持ち
になり、結局機会喪失という結果に至るわけで、せっかく購入しようという気持ちを萎(な)えさせてしまうのですから、ちょっとした配慮不足が大事な集客・
購入機会を逃してしまいます。
しかも運用者は日頃からチェックしていないと気がつきません。リアルの店舗ならば、お客から直接文句が飛んでくるの
で気がつくところです。そうならないためにも、まず各ページでの離脱率をチェックすべきで、著しく離脱しているページがあれば、そのページを徹底的に調べ
ましょう。大きな離脱率には必ず理由があります。
利用者目線
とかく運営者は利用者の目線に立ってサイトを制作することは容易ではありません。実際には初心者をモニターとして直接意見を聞くのが良いですが、顧 客の動線を時間経過とともに計測することにより、大きな問題点を発見することもできます。運営者の自己満足がサイトの魅力を損ねる一番の原因となることを お忘れずにお願いします。
このタイトルで書くとやたらと長くなってしまうので、今回は第1話として書かせていただきました。(加辺友明)
最近のコメント