この記事は2010年5月7日CNET JAPANに投稿したものです。
書籍が電子化され紙媒体がパソコンなどに収納される中、身の回りにある紙媒体のPDF化作戦を行った。この中で、如何(いか)に効率よくPDF 化でき、しかもそのPDFファイルが効率よく検索され、紙媒体と遜色なく読むことができるかが、今回挑戦してポイント。印刷媒体はすぐに溜まってしまい、 読みたいときになかなか探せ出せないでいる。そうこうしているうちに、部屋は収納容量を超えてしまい、書類・書籍が散らかってしまうことになる。これを少 しでも軽減するために、PDF化を試してみた。
取り込んだPDFはそのままパソコンに保存しても、検索性能に欠けるため、OCR機能が付いているAcrobatを使い、テキストレイヤーも付け加
えた。そして閲覧ソフトなのだが、これが一番合う物を探すのに苦労した。
日本語の書籍では、左からめくるものと右からめくるものと二種類あるが、
ほとんどの閲覧ソフトは左からめくるものとして作られている。事務所では27インチの大型モニタを使っている。一度に見開き2ページ分が表示されるが、右
からめくるものを左からめくるソフトでは、読むに耐えないものであった。
書籍の電子化レシピ
PDF化にはまずそれを効率よく取り込む仕掛けが必要となる。そこで、用意したものは
1.裁断機
プラス裁断機 裁断幅A4
2.両面スキャナー
FUJITSU ScanSnap S1500
3.Acrobat
Acrobat 9 standard
1.裁断
特に雑誌が簡単にきれいに切断できるものと思いこの機種にした。切断面が粗くなるとスキャナーでのフィードがスムーズに行か なくなるのではと思ったからだ。LEDで切断線を表示してくれるので、位置あわせが容易で切断には苦労しない。一度の切断能力は約 15mm(160~180枚)が目安。限度いっぱいの厚物を切断しても、スムーズに切断でき、切断面も驚くほどきれいだった。
2.スキャン
購入前に両面スキャナーとは、一度フィードし直して裏面をスキャンするものだと思っていたのだが、これは両面にセンサーが付 いていて、一度のフィードで両面のスキャンが完了する。分20枚の高速スキャン。雑誌一冊読み込ますのも面倒はなく、みるみるうちに読み込みが終了する。 自分でもこのスピードには驚いた。今まで時間の掛かる複合機でのコピーしか頭に無かったので、ほんとうに驚きであった。
3.PDF(OCR付き)
これでPDF化してパソコンに取り込まれたことになる。このまま保存していても良いが、さらにAcrobatを使ってOCR化する。OCRされたテ
キスト部分は、PDFの画像レイヤーにかぶさるので、見た目の変化はまったくない。ただ、あとで検索ができるようになる。ここで問題だったのは、縦書きの
日本語。これはさすがにOCR不能だった。OCRソフトとはいえ、横方向に文字をスキャンするためだ。
それでもビジネス系の書籍は横方向がほとん
どなので、特に問題ということでもない。
4,閲覧ソフト
最終的にはこれが一番重要な部分になる。閲覧ソフトが貧弱であれば、結局読まなくなるからだ。
また、パソコン、
kindle,iphoneで取り込んだPDFを試してみた。
a. iphone
iphoneで
PDF閲覧ソフトをいろいろ試しては見たものの、今のところ満足のいくものはなかった。画面が小さすぎである。いちいち拡大していたら、文章が途切れ途切
れとなり、とても読める代物ではない。
b. kindle
kindkeでも最新バージョンであればPDFは可能で、取り込んでみたが、残
念ながらPDFは拡大表示できない。雑誌サイズのPDFはとても無理としても、単行本サイズであれば、kindleの画面サイズが近いこともあり、違和感
なく読めた。これは使える。将来的にPDFではなく、kindleで読むためのフォーマットに変換してくれるソフトが出回れば、大いに役に立つであろう。
c.パソコン
最近のパソコンモニタは横長が多い。このため、ちょうど見開きのような形で一度に2ペー
ジ分表示されると効率よく読める。この2ページ分の表示が問題で、試した中で、Foxit
Readerが良かった。Freeだし、見開き2ページで表示する場合、リバースとしておくと、右側のページが若く、左側のページへ続く形とな
る。
もう一つ試したが、見開き可能リーダー(有料)では、どうしても左ページから始まるため、大変読みづらい。
PDF化に取り組んだが、不満は取りこんだ書籍のライブラリー化である。書籍をPDF化して、パソコンに入れるとしても、ちょうど整理された本棚の ようにライブラリー化して、検索すればいつでもその本が読めるのが最適だと思うが、このライブラリー化だけは遅れているようだ。今は、一つのフォルダーに 入れて、エクスプローラーで検索するという形を取っている。
よく使うPDFファイルは、GoogleDocに入れておき、パソコンが変わってもどこでも見られるようにしている。このようにしておけば、かさ ばる書籍も小型のノートパソコンさえあれば、いつでもどこでもそれを読むことができるのだ。閲覧ソフトがより進化することを望むばかり。 (加辺友明)
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