この記事は2010年1月27日CNET JAPANに投稿したものです。
基本的に巨大サイトでも、もちろんネットならではの利点もありますが、目指すは顧客と直接接していりリアル店舗にいかに近づけるかです。単に価 格と品ぞろえだけでみれば、巨大サイトは有利でしかも、即日(翌日)配達、送料無料ということで、リピート購入のために付加価値サービスに力を入れてま す。他のサイトで購入したい商品を見つけると、巨大サイトに移りそのサイトで購入されてしまうことも多々あると思います。
「某巨大サイトと同じような仕組みを作りたい」と相談を受けることがありますが、見た目は同じようにできたとしても、展開しているサービスには容易 に太刀打ちできないのが現状です。しかし、巨大サイトは他サイトと比べて完璧かと言えば、完璧ではなく、差別化のための付加価値において は対抗手段はまだまだあるのです。
そこで巨大サイトで実現していないサービスを挙げてみます。
巨大サイトは無機質
最初に挙げられるのは、店員の存在感がないことです。無機質で単に商品を買うのだから、それで良いという顧客がいる一方で、買うならこの店で買いた
い、ということがあります。そこでは単に商品を売っているだけではなく、そこには顧客と店員とのコミュニケーションがあります。また、そう感じさせる雰囲
気があります。メルマガ一つをとっても、熱意がにじみ出すこともできます。
(メルマガ・マーケティングは今度改めて書きます。メルマガ大勝でもあ
ればいいのですが・・・)
ときどき感じの良いメルマガを読むことで、またそのサイトに行く動機付けをさせてくれます。小売店舗では、感じの良い店員とのコミュニケーションが
あり、その店員がいるからその店に行き、その店員がいなくなると来なくなる、ということもあります。これはファッション店だけでなく、家電量販店でも言え
ます。こうなると他より安いとか、高いとかいうことは二の次となります。
メルマガ以外でも、ネットでもこのコミュニケーションを作る手段はありま
す。ただ非効率だということで、コミュニケーションをとることに消極的なサイトがほとんどでありますが、これは間違いです。リピートしてもらうよりも、新
規顧客をつかむ方がよほどコストがかかるのが普通です。
ECサイトでも、接客はできるのです。お客とコミュニケーションを取るに送るメルマガもしかり、商品ページ上や、顧客のマイページでの情報表現も接
客です。
完全なロングテールはない
いくらロングテールといっても、同じ商材でもそこでは売られていない商品があり、取扱商品でもこだわりを表現できてはいません。それを伝えられるの
も付加価値のひとつであり、顧客をひきつけるきっかけとなります。実際、巨大サイトと比べて完全に少ない商材でも、一点一点大切に表現されている中小のサ
イトもあります。
連携
次に仕掛けは大きくなりますが、異業種サイトとの連携です。顧客の情報、好みを共有することです。ある程度のCRM機能は必要で、しっかりしている 実店舗の店員では、だれにでも同じ商品を勧めることはなく、客の興味に応じて勧める商品も変えているはずです。しかし、商材が少ないとこれから勧める商品 をどれにするかは難しいところです。全く業種の異なるサイトで同一顧客の動きも知りたいところです。自社の顧客の動き以外に、他社の動きまで分かると、 CRMの精度は飛躍的に向上します。ただ、店舗が系列の場合や、サイトの仕組みが同じであれば、実現は比較的容易ですが、通常これを実現するには、サイト 毎の仕掛け、システムの仕組みに多大に影響を受けます。さらに、セキュリティーの問題にも絡みますが、巨大サイトとの対抗となるわけで見かけの規模も大き くなります。
本来百貨店であれば、異業種との連携もそれほど必要にならず、総合ショッピングサイトも可能であるはずと思います。実際は、百貨店ブランドがじゃま をしているように思えてなりません。ネットでの販売はギフトが中心で、一般商材を大量に取り扱う百貨店系の大規模総合ショッピングサイトがないのも不思議 です。(加辺友明)
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