この記事は2010年1月5日CNET JAPANに投稿したものです。
野村総研が昨年12月21日に発表した5年後のBtoC ECの市場規模が約12兆円となり、年平均12.7%の成長を予測している。この12兆円には不動産・自動車販売は含まれていない。
12兆円というとどの位なのかピンと来ないので、総務省の調査データを調べてみた。以下は平成20年の実績データ。総務省の調査データに「商業販 売額」というものがあり、それによると小売業と卸売業の総販売額は621兆円である。小売業だけを絞ってみると、135兆円だ。この中には高額の自動車・ 不動産販売も含まれているので、単純に比較するわけにはいかないので、12兆円に近い業種を絞ってみると、ちょうどスーパーの12兆8,724億円(平成 20年)だ。ちなみに百貨店のデータを見ると8兆787億円である。
つまり、2014年度BtoC(自動車・不動産を含まない)のECでの販売額は、平成20年のスーパーの全販売額に匹敵し、消費低迷の中、昨年の
BtoC ECは6兆5,744億円から順調に伸びていくということになる。
もし、小売り全体販売額が伸び悩めば、5年後にはECの販売額は全体
の1割に匹敵することになるのだ。
このことから、ネット専業を除き、いままではややもするとECはチャンネルの補完という業態が強かったが、ECの業態は著しく変化していく5年間 だと思われ、メイン販売チャンネルとしてシフトしていくと思われる。
ネット専業ならともかく、従来補完的に立ち上げていた企業も大きな変革を求められるときである。さらに、従来の業態の変革は容易ではないが、EC は新たな業態として立ち上げることにより、そこから既存店の業態の変革に移れるチャンスと考えられる。ネット専業も他社のメイン販売チャンネル化に合わせ て、自社サイトの強化も求められてくる。まさにEC変革元年とも言える時である。(加辺友明)
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