この記事は2009年12月28日CNET JAPANに投稿したものです。
百貨店各社が通年年明けから実施するセールを前倒しするとの記事があった(日経
12.25)。商材はファッションから雑貨まで広げるとのこと。目的は顧客の囲い込みだそうです。さらに一部では食品まで含めるとのことで、苦境感がにじ
み出ています。各社がセールをやるので、もし1社だけがそれをしなければ、顧客を逃してしまうことになるのでしょう。
しかし、これでは需要の前倒
しということになり、セールが終われば再び寒い冬に戻ってしまうのではないでしょうか。
セールという言葉が当たり前、最近ではプリセールなどという言葉も良く聞かれます。これでは高額衣料品は必ずセールまで待とうという気になってし まい、セール前に購入した顧客がセールでその商品を見たら、かなり損をした気になってしまうのではないでしょうか。
これだと売上げが上がるほど利益が下がる構造を一生懸命作っているようなものと思われます。まるでクリスマスケーキと同じ。さらに考えるとクリス
マス商戦も危ういのでは。クリスマスが終わるとプリセールが始まるので、高額なプレゼントはクリスマス後に購入し、お正月プレゼントとして贈ればかなり経
済的ではあります。(ただし、本当にほしい物が含まれているかは別)
そうなると、日にち厳守のクリスマス・プレゼントも、日にちを厳守しない自分
へのプレゼントに重きが置かれそうです。
普段よく購入してくれている顧客を対象にセールの招待状を送るのは理解できますが、一般も対象に広げることで顧客囲い込みを目的としています。テ レビの「カンブリア宮殿」で鎌倉シャツの経営者が話していたように、ファッション業界というのは妙な習慣があり、セールを毎年恒例として行うそうです。
ファッション業界の内部はよく分からないので価格構造は不明ですが、そもそも想定粗利益はどの位なのでしょう。正価の50%オフは消費者から見る とありがたいですが、そもそも、そこまでしなければならないほど、生産してしまって本当に売れ残った商品をセールで売っているのでしょうか。または最初か らセールを想定して多めに生産していたのでしょうか。想定外であれば、生産計画自体間違っていたということになるが、想定内であれば、セール前に買った顧 客は損をしたことになります。シーズン中に売り切ってしまえば、良いと思うのですが、セールが前提であれば、その前に売り切ってしまうとまずいのだろう。
いっそのこと、最初にセールをやって、売れ残ったら通常価格で売るのはどうか。少なくともセール前に買った人を裏切ることななくなると思います。
この時期になると、ブランドとはなにかが分からなくなります。(加辺友明)
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